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日本鳥学会100周年記念大会の参加報告 [鳥見日記]

遅くなりましたが、9月14〜17日に東京大学で開催された日本鳥学会100周年記念大会の参加報告など。

東大弥生キャンパスの前の看板
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私はポスター発表をしまして、せっかく東京で開かれるので東京近郊の市街地にあるアオサギ繁殖地の分布と特性について発表しました。

ポスターの写真を撮るのを忘れてしまったのですが、内容としては、大きいコロニーはあるにはあるのですが、小さいコロニーもできているという状況報告。ポスターをご覧いただいた方からは、昔の繁殖地の分布や他種の状況など教えていただけました。

ポスターB会場の様子
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100周年記念式典とシンポジウムが開催された安田講堂
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安田講堂では、記念式典と記念講演2題のあと、シンポジウムでは東アジアにおける鳥類の系統と進化というテーマで4題の講演がありました。海外の研究者を招いての講演会では、日本だけでなく、隣接国における種分化の様子や、相互に渡りをする渡り鳥の話などがあり、隣接国との研究の連携をすることも重要であると感じました。

会場で販売されていた、日本鳥類目録改定第7版と、鳥学の100年
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日本鳥類目録改定第7版は、第6版と比べると、DNA解析などを反映した分類の変更や、記載されていなかった種類の記載、外来種の追加などがあり、かなり内容が変わりました。我がアオサギの含まれるサギ科は、コウノトリ目からペリカン目へと変更されました。

なお、購入は日本鳥学会のホームページから→ http://ornithology.jp/osj/japanese/katsudo/Publications/Checklist7.html

鳥学の100年については、記念式典の中で内容の紹介も兼ねた(?)講演がありました。講演では学会創世期から学会の活動から派生してできた研究機関やアマチュアの活動、戦中・戦後の運営の危機や、保護活動に貢献した会員の紹介などがありました。

詳しい内容はこちらからどうぞ
鳥学の100年

鳥学の100年

  • 作者: 井田 徹治
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2012/09/14
  • メディア: 単行本



おまけの三四郎池(クリックすると大きな画像が出ます)
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おまけ2。会場でお会いした富士鷹なすび先生にサインしていただきましたw
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こちらは最近の先生の著作です
原色非実用野鳥おもしろ図鑑

原色非実用野鳥おもしろ図鑑

  • 作者: 富士鷹 なすび
  • 出版社/メーカー: 日本野鳥の会
  • 発売日: 2009/11
  • メディア: 単行本




その他興味を持った発表を下記に... 個人的メモですので悪しからず(タイトルの学名は省略します)

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溜池におけるヨシゴイの営巣生態(佐原)コロニーはあまり作らず単独で抽水植物に営巣するらしい。巣の中を見ると卵が6個前後あって、結構産むんだなという印象です。
サギ類集団繁殖地におけるゴイサギ若齢個体の繁殖(渡辺)いわゆるホシゴイのような2年目の個体でも繁殖に参加するそうで、ホシゴイ同士でつがいになることもあるらしい。一腹卵数は比較的少ないとか。

捕食者に対するさえずり?ガビチョウの警戒音声(宮澤)さえずりらしき鳴き声以外に5種類の鳴き方があるらしい。警戒する対象によって使い分けている?

日本におけるカワウの集団繁殖地と集団ねぐらの分布3(加藤)15年前と比較して分布が広がった。大きいコロニーもあるが小さいコロニーが増えたらしい。

多摩川中流域における鳥類相の変遷(石江ほか)多摩川大栗川合流点の周囲を月一回ルートセンサスした結果の報告。1995、96年と2006年以降の記録を比較するとカモ類が減少、ハクセキレイやムクドリ、ドバト、アオサギも増加。GAMという計算ソフトを使って増減を分析したらしい。

北海道におけるミユビゲラの観察記録(荒ほか)北海道の原生林を歩いてミユビゲラの観察場所をプロットし、行動範囲を推測したもの。月に何日も歩き回っても観察されるのは年数回というのは大変な調査だなと。一年を通して特定の場所でしか観察されないらしい。個体識別できればもっと面白いかも

スズメの喉の黒色部の大きさはオスの質を示すのか?(松井ほか)スズメの血中のヘマトクリット値(血液中に占める血球の体積の割合)を測ると黒色部の面積と相関があるらしい。雄性ホルモンの量に関係しているのではないか、と

上部消化管カテーテルによる心電図記録(中田ほか)ニワトリに麻酔をかけ消化管に電極のついたカテーテルを入れると他の筋肉の電位に邪魔されずに心電図が測れるらしい。羽を除去せずに病気の個体が分かるかも、とのこと。

口頭発表
strong>東日本大震災がコクガンの分布に与えた影響(嶋田ほか)浜や干潟が地盤沈下してコクガンがいなくなったが、漁港も地盤沈下して浅い海岸ができ人も少なくなったので、漁港では増えたらしい。

ツバメの巣の放射性物質汚染状況(岩見ほか)ツバメの巣を採集してきて、それに含まれる放射性物質を計測したもの。現在も継続中とか。

カワウを材料とした中学校理科教育教材の開発(遠藤ほか)学校の授業で教室に居ながらにしてカワウの学習をするための方法の紹介。生態だけではなくカワウをめぐる問題に関して映像を流したり、実物大ペーパークラフトを制作して実際の大きさを実感したりできる。ペーパークラフト登場で湧き上がる聴衆w

ジオロケーターによるブッポウソウの渡りルートと渡り行動、越冬地の解明(飯田ほか)いた場所の照度と時刻を記録するジオロケーターをブッポウソウに取り付けて行動を調べたもの。今回は大陸での越冬地が分かったという報告。ジオロケーターのログからの解析は、外れ値が大きかったり、木の下にいたり、春分秋分の間の数日は記録が取れなかったり、大変そうです。

人慣れスズメー出現の記録と背景ー(樋口ほか)手乗りスズメが各地で見られているが、それは隣接しない複数の地域で出現。時間のある年配の人の餌付けと関係しているのでは?特定の個体が手の上を独占するとか。情報募集中だとか。

メジロにおける一腹卵数の地理的変異(堀江ほか)生息している緯度によってメジロの一腹卵数が変わるのではないか、と調べたもの。ハワイ以外では、緯度による変異があるらしい。遺伝的なものがあるかは分からない。

クサトベラの二型ー鳥と海による種子散布能力(栄村ほか)クサトベラの果実の中心にコルク質があるかないかで、種子散布のしかたが変わるらしい。コルク質のある個体は海岸から、コルク質のないものは崖からよく見つかるらしい。イソヒヨドリなどのフンを調べると、コルクなしの種子がよく見つかるらしい。海洋散布から鳥散布に変わってるのかな?

三宅島におけるイタチ導入前後のウグイスの巣高の変化(濱尾ほか)イタチが入る前と後でウグイスの巣の高さを比較すると、イタチが入った後には巣の位置が高くなったらしい

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