案外知られてないことの調べ方・考え方 ー「スズメの謎: 身近な野鳥が減っている!?」 [読書(鳥関係)]
みんな良く見かけるスズメですが、知らないことが沢山あります。そこで今まで分かったことと、知られていないことを知るための研究者の試行錯誤が綴られています。
スズメのことが事細かく書かれているというような本ではありません。本文でも書かれているように、スズメのことについて根拠をもって「分かっている」ということは少ないです。(鳥全体でも分からないことが多い)
例えば個体数について。鳥を観察する側の感覚として、少なくなってるんじゃないかなぁと思う事はあると思います。本書では、そのことについて根拠をもって「少なくなっている」と言うにはどうやって説明するべきかを調査の方法から細かく説明し、その原因について考察しています。
本当にスズメが少なくなっているのかについては本文を読んでいただきたいと思いますが、複雑な統計処理などはなく、誰にでも分かるような形で書かれています。(私もあっという間に読んでしまいました)
具体的には主に、個体数についてはスズメの巣の数や分布について、個体数変動の原因については親が連れているヒナの数を全国的に調べたものを紹介しています。それだけなのかと思うかもしれませんが、どうしてそれを調べることにしたのか、その理由からデータをどのように理解すればいいかが書かれています。これは特にこれから生きものの研究をする人にとって、研究者はどうやって研究をしているか、ということの考え方を知ることができると思います。
また、スズメの研究の背景として、生きものの世界の複雑さや、人との関わりについて書かれています。スズメを中心として実際にはあらゆる生きものの数の変動に密接に関わってくるということが理解できるでしょう。また、農業との関係や文化に根付いているスズメのことなど、スズメがいなくなっては困るということが分かると思います。
生きものの説明を、物理や化学と同様に「Aという現象の原因はBである」という単純なことのように言われることがよくあります。普通に見られる種類では根拠の有無ば別にして単純なことのように語られることが多いと思います。しかし実際は複雑で、本書を読むと研究者はいろいろな関係を考慮していることが分かるでしょう。
他には、野外での調査研究にまつわる裏話や葛藤などいくつも書かれていて、あぁ、自分だけじゃないなぁと思うことが沢山あるかもしれません。研究者は楽しんで研究をやっている、とは、私もそう思いました(笑)
あと、本文ではあまり紹介されていませんが、研究者の仕事のもう一つは、論文を書いて世界に新たな発見を発表するということがあります。論文を書くための本ではないので何ですが、そのあたりの苦労をもう少し紹介していただくと、共感する人も多くなるかもしれません。(本文に書かれているぐらい考えられていれば、ほぼ書けたも同然ですが...)
ともかく、スズメの数のことが気になっている人を始め、これから野鳥の研究をしてみたい人にもおすすめの一冊です。
スズメのことが事細かく書かれているというような本ではありません。本文でも書かれているように、スズメのことについて根拠をもって「分かっている」ということは少ないです。(鳥全体でも分からないことが多い)
例えば個体数について。鳥を観察する側の感覚として、少なくなってるんじゃないかなぁと思う事はあると思います。本書では、そのことについて根拠をもって「少なくなっている」と言うにはどうやって説明するべきかを調査の方法から細かく説明し、その原因について考察しています。
本当にスズメが少なくなっているのかについては本文を読んでいただきたいと思いますが、複雑な統計処理などはなく、誰にでも分かるような形で書かれています。(私もあっという間に読んでしまいました)
具体的には主に、個体数についてはスズメの巣の数や分布について、個体数変動の原因については親が連れているヒナの数を全国的に調べたものを紹介しています。それだけなのかと思うかもしれませんが、どうしてそれを調べることにしたのか、その理由からデータをどのように理解すればいいかが書かれています。これは特にこれから生きものの研究をする人にとって、研究者はどうやって研究をしているか、ということの考え方を知ることができると思います。
また、スズメの研究の背景として、生きものの世界の複雑さや、人との関わりについて書かれています。スズメを中心として実際にはあらゆる生きものの数の変動に密接に関わってくるということが理解できるでしょう。また、農業との関係や文化に根付いているスズメのことなど、スズメがいなくなっては困るということが分かると思います。
生きものの説明を、物理や化学と同様に「Aという現象の原因はBである」という単純なことのように言われることがよくあります。普通に見られる種類では根拠の有無ば別にして単純なことのように語られることが多いと思います。しかし実際は複雑で、本書を読むと研究者はいろいろな関係を考慮していることが分かるでしょう。
他には、野外での調査研究にまつわる裏話や葛藤などいくつも書かれていて、あぁ、自分だけじゃないなぁと思うことが沢山あるかもしれません。研究者は楽しんで研究をやっている、とは、私もそう思いました(笑)
あと、本文ではあまり紹介されていませんが、研究者の仕事のもう一つは、論文を書いて世界に新たな発見を発表するということがあります。論文を書くための本ではないので何ですが、そのあたりの苦労をもう少し紹介していただくと、共感する人も多くなるかもしれません。(本文に書かれているぐらい考えられていれば、ほぼ書けたも同然ですが...)
ともかく、スズメの数のことが気になっている人を始め、これから野鳥の研究をしてみたい人にもおすすめの一冊です。
おはようございます。
なるほどです。研究に対する考察と展望などにおけるスタンスはとても参考になりそうです。野鳥初心者ですので助かります。
by doudesyo (2013-01-12 08:49)
doudesyoさん、コメントありがとうございます。普通に見られる種類でも素朴な疑問の解決のために仮説を立てていろいろ調べたり議論するのは面白いと思います。
後で書こうと思って忘れてた点を2つほど。
生きものの色々な現象の説明にはあいまいさがつきまとっているということと、調べた結果が思っていた事と逆であってもクヨクヨしないということを念頭に入れておくことは大事だなぁと思いました(笑
by aosagi (2013-01-12 15:22)